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お酒売り場で見かける「ビール」と「発泡酒」と「第三のビール」!
見た目はどれも似たようなデザインの缶に入っていて、普段あまりお酒を飲まない人にとっては同じように見えますよね。
この3種類の”ビール”にどんな違いがあるかご存知ですか?
そこで、今回は「ビール」・「発泡酒」・「第三のビール」の違いをまとめました。
このページの目次
「ビール」と「発泡酒」と「第三のビール」の違いは?
この3種類の”ビール”の大きな違いは麦芽の比率と使われる副原料です。
麦芽はビールの主な原料となっている「麦」です。
「ビール」
「ビール」は麦芽・水・ホップ・米・でんぷんなど法律で認められた原料のみを使用しています。
また、麦芽の使用率が原料の2/3以上でなければいけません。
この2つの条件を満たして初めて、ビールと呼ばれます。
「発泡酒」
「発泡酒」は麦芽の使用率が、原料の2/3に満たないビールなどを指します。
ビールと同じ原料を使用していても、麦芽の使用率が2/3に満たない場合や、ビールと認められない原料を使用しいると、それは「発泡酒」に分類されます。
「第三のビール」
新ジャンルビールとも言われる「第三のビール」は、麦芽は使用されていません。
穀類や糖類などを原料としたお酒です。
近頃は、同じ新ジャンルビールとして「第四のビール」も出てきました。
第三のビールとは違い、麦芽を5割ほど使用していますが、大麦スピリッツなど麦を原料とする蒸留酒を加えています。
第三のビール・第四のビール、どちらも新ジャンルビールと呼ばれますが、製法が異なるため別のお酒として分類されています。
なぜ発泡酒や第三のビールが出来たのか
ビール以外の発泡酒や新ジャンルビールが市場によく出回るようになったのは、酒税法の改正と不景気が関係しています。
実は発泡酒は昭和20年代にも作られていました。
「ビール」が主役に!
戦後の高度経済成長期を迎えて、国民の所得が増えたため一般的にビールが飲まれるようになりました。
それまでは、初期の発泡酒が一般的に飲まれていました。
1989年に酒類販売免許の緩和され、大型ディスカウント店でもビールを取り扱えるようになり、低価格競争が起こりました。
ビールの値下げは、税率が高く難しいため、安い輸入ビールが売れるようになりました。
「発泡酒」再び!
そこで、各メーカーは発泡酒の製造に力を入れはじめます。
ビールに似た味で低価格で飲めるため、人気になりました。
2000年代前半にはダイエットや健康志向に合わせた商品も次々に発売され、発泡酒の全盛期を迎えました。
「第三のビール」誕生!
一方、第三のビールは、2003年の酒税法改正により発泡酒が増税となったことで、さらなる安い税率のアルコールとして研究・開発されました。
2006年には、酒税法の改正が行われ、第三のビールも値上げとなりました。
反対にビールに対しては減税が行われました。
景気に左右される顧客のニーズと、売れ行きにより税金をかけたい国税庁の影響で、発泡酒や新ジャンルビールが”ビール”市場の主役を奪い合っています。
大がかりな酒税法の改正
平成30年4月から再び酒税法の改正が行われました。
ビールの麦芽比率の条件が、67%(2/3)以上となっていたのが、50%(半分)以上に引き下げられました。
これは、明治41年(1905年)に定められて以来変えられたことはなく、実に110年ぶりの変更になります。
そして、副原料に麦芽の重量の5%までの香味料と果実が認められました。
副原料として認められたものには、果実やハーブなどの他に、みそ・ごま・かつお節・コーヒーなど、ビールに使われるものとは結びつきにくい食品も対象になっています。
今までは「ビール」に分類されなかった果実やハーブなどが使われている場合も「ビール」と呼ばれるようになりました。
比較的なじみやすいレモンピールやオレンジピールなど柑橘系を使用した新しいビールが、各社から発売されました。
「ビール」「発泡酒」「第三のビール」が同じ値段に!?
「ビール」「発泡酒」「第三のビール」にかけられている税率は大きく異なります。
具体的な金額で見ていくと、350mlあたりの税額は、ビールが77円、発泡酒が47円、第三のビールが28円です。
今まではビールが高く、第三のビールは安いと認識されていました。
ところが、2020年・2023年・2026年と3段階に分けて税率が変更されます。
最終的には「ビール」も「発泡酒」も「新ジャンルビール」も、全て同じ税率にすることが予定されています。
ビールの値段を下げ、発泡酒と第三のビールは上げることで、”ビール”類の酒税を全て55円程度で統一する予定になっています。
まとめ
毎日のようにCMや店頭で見かける「ビール」「発泡酒」「第三のビール」には、細かく定められた定義があります。
ビールと言っても原料や製法など様々の点で異なっています。
「毎日飲むには高い!」と、ビールを我慢して発泡酒や第三のビールを楽しんでいる方には、まだ先は長いですが、最終的に税率が統一されることになります。
また、多彩な副原料を使用することが認められたため、これまでにない新しいビールの風味を味わえるようになります。
使用される副原料によって、ビールと食事との相性も変わってくるかもしれません。
酒税法の改正には、市場の活性化も期待されています。
今までは輸入ビールで味わえた本格的なビールも、国内独自に開発されるかもしれません。
国内のビール市場がどうなるのか楽しみです。
この記事を書いていて、ニュージーランドのビール工房にに行った時に出汁を使ったビールを飲んだことを思い出しました。
あまりおいしいとは思いませんでしたが、日本でもいずれ出汁の利いたビールが登場するかも知れませんね!
出汁ビールを飲んだニュージーランドの地ビール工房Garage Project.
ニュージーランドのウエリントンは地ビールを作る工房がたくさんあります。
ビール好きの方にはオススメです。