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実はブロッコリーとカリフラワーは同じです!
言われて納得する人もいれば、疑問に思う人もいると思います。
詳しく比較すると、なんとなく似ていたブロッコリーとカリフラワーがはっきりと別々の野菜に見えてきます。
今回は、色々な角度からブロッコリーとカリフラワーを比較してまとめました。
このページの目次
ブロッコリーとカリフラワーは同じアブラナ科
ブロッコリーとカリフラワーは植物の分類学で見ると同じです。
どちらも同じ、アブラナ科アブラナ属で、同一品種です。
アブラナ科アブラナ属は、キャベツの仲間で、ブロッコリーやカリフラワーはキャベツ(別説だと同じ仲間のケール)の変種、突然変異として生まれました。
同じ種なのでブロッコリーとカリフラワーを交配させることもできます。
さて、ここで疑問なのは「ブロッコリーとカリフラワーはどちらが先に生まれたのか?」ということです。
ブロッコリーの変種がカリフラワーであるという説と、カリフラワーの変種がブロッコリーであるという説があります。
キャベツの変種であることに変わりはありませんが、今のところはっきりと分かっていません。
実は1900年頃までブロッコリーとカリフラワーは区別されていませんでした。
ブロッコリーとカリフラワーの名前
学名では、
- ブロッコリーは「Brassica oleracea var・italica」
- カリフラワーは「Brassica oleracea var・botrytis」
であり、どちらも最初に「Brassica oleracea」という名前がついています。
「Brassica oleracea」は原種を表しています。
ヤセイカンランという、たんぽぽのような植物のことを指します。
そして和名の場合、
- ブロッコリーは「芽花野菜(めはなやさい)」
もしくは、
「緑花野菜(みどりはなやさい)」 - カリフラワーは「花野菜(はなやさい)」
となっています。
日本ではブロッコリーもカリフラワーも花という認識です。
食べる時のブロッコリーとカリフラワー
2つの野菜を生活の中で一番身近に感じる瞬間は食べるときです。
ブロッコリーとカリフラワーを食べる時の、
- 栄養価
- 見た目
- 食感と味
- 食べ方
- 育ち方
を比較してみました。
ブロッコリーとカリフラワーの栄養価
食べる上で気になる栄養ですが、ブロッコリーとカリフラワーには共通点があります。
2つともビタミンCとカリウムがとても豊富です。
しかし、ブロッコリーはカリフラワーよりも葉酸とβカロテンが多いので、総合的な栄養はブロッコリーが上になります。
カロテンが多いからこそブロッコリーは緑黄色野菜で、カリフラワーは淡色野菜とになっています。
しかし、カリフラワーにはビタミンCが摂取しやすいというメリットがあります。
含まれている量はどちらも同じですが、ブロッコリーとカリフラワーは茹でて食べることが多いです。
ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱く、茹でると栄養が無くなっていきます。
ところが!
カリフラワーは茹でてもビタミンCの量があまり変わりません。
実はカリフラワーの組織はイモ類と似ていて、頑丈にできています。
そのため、ビタミンCが溶けたり壊れたりすることがほとんどありません。
ブロッコリーとカリフラワーの見た目
見たときにはっきりと色の違いがあります。
基本ブロッコリーが緑でカリフラワーは白ですが、カリフラワーには白以外の物もあります。
オレンジ、紫、ブロッコリーと同じ色をした緑のカリフラワーもあります。
色が同じだと区別しにくくなりますが、ブロッコリーは小さく細かい粒の集合体になっています。
カリフラワーは粒がやや大きく、ブロッコリーより丸々としています。
ちなみに…緑で粒がとがった形をしたものはロマネスクというカリフラワーの変種です。
ブロッコリーとカリフラワーの食感と味
味は分かりにくいかもしれませんが、食感はわりと違いがあります。
ブロッコリーは少し繊維質で噛むとゴリッキュッとします。
味は菜の花に近いです。
カリフラワーはぽろぽろと比較的柔らかく、噛むとモリモリコリコリします。
味はキャベツの芯のような感じです。
ブロッコリーとカリフラワーの食べ方
日本ではブロッコリーとカリフラワーは茹でて食べることが多いですが、アメリカなどでは生で食べることが多いです。
もちろん日本でも生で食べることはできます。
生で食べる場合は、なるべく小さい房に分けて水に浸しながらよく洗って食べてください。
ブロッコリーとカリフラワーの育ち方
旬はブロッコリーもカリフラワーも11月から3月です。
どちらも涼しい気候を好む冬野菜です。
しかし、育ち方が違います。
ブロッコリーの育ち方
ブロッコリーは花にる元の芽である花芽(はなめ)が成長してつぼみになります。
つぼみが集まり、花が咲く前に収穫するとよく見るブロッコリーができます。
つぼみの状態なので収穫後もしばらく日にちが経つと、だんだん黄や白の小さな花がたくさん咲いてきます。
花は可愛らしいですが、開花に栄養を使ってしまったブロッコリーは美味しくなくなります。
カリフラワーの育ち方
カリフラワーは花芽が成長せず、そのままの状態で数だけがどんどん増えていきます。
何日経っても花を咲かせることはありません。
カリフラワーは生まれつき花芽(はなめ)にメラニン(色素)がないため、アルビノ(色素のない個体)と呼ばれることがあります。
しかし、ブロッコリーのアルビノではないと言われるのは育ち方が違うからです。
食感の違いも「育ち方が違う」と考えると納得できます。
ブロッコリーとカリフラワーの歴史
ブロッコリーとカリフラワーはヨーロッパが発祥の野菜です。
ヨーロッパと日本での歴史を簡単にまとめました。
ヨーロッパでの歴史
ブロッコリーとカリフラワーはほぼ同じ歴史を持っています。
起源は古く、紀元前の古代ローマから開花前の蕾(つぼみ)のブロッコリーとカリフラワーを食用としていました。
15世紀になるとイタリアやフランスで本格的な栽培が始まるようになります。
その後、ヨーロッパ全土へ広がっていきました。
品種改良を繰り返し、現在の姿になったとされています。
日本での歴史
日本に初めてブロッコリーとカリフラワーが入ってきたのは明治初期の19世紀後半です。
この頃は食用としても、観賞用としても普及しませんでした。
1950年代の半ばに改良種の輸入や栽培技術が発達します。
ブロッコリーよりもカリフラワーの方が先に普及していきました。
当時の日本の家庭では、煮物が多く作られており、色が飛ばない白いカリフラワーが好まれていました。
ブロッコリーはその10年後の1960年代半ばに普及しました。
1987年にはカリフラワーとブロッコリーの入荷量が逆転し、今はブロッコリーの方が多く消費されています。
なぜ日本ではブロッコリーが人気に!?
カリフラワーは黄ばみやすく汚れが目立ちます。
ブロッコリーは色が変わりにくく、栽培もカリフラワーに比べると手間がかかりません。
また、アメリカの影響を受け、健康のために緑黄色野菜を食べることが広まった説もあります。
キューピーマヨネーズのCMの影響という説もあります。
茹でたブロッコリーにマヨネーズをかけてで食べたCMの影響で、カリフラワーよりもブロッコリーが一般的になった可能性もあります。
また、日本でブロッコリーやカリフラワーを茹でて食べるのは、キューピーマヨネーズの影響かも知れません。
まとめ
ブロッコリーとカリフラワーは植物学上は同じです。
アブラナ科アブラナ属に属し、突然変異種で生まれた食べ物です。
緑黄色野菜のブロッコリーは、葉酸とβカロテンが多くバランスの取れた野菜です。
茹でて食べる場合はカリフラワーの方がビタミンCを摂取できるメリットがあります。
色合いや食感ではブロッコリーの方が私は好きです。
今度、オレンジや緑のカリフラワーを見たらぜひ買って食べてみたいと思います。
様々な角度でブロッコリーとカリフラワーの同じ点や違う点に触れてきました。
もしこの2つをどこかで見かけたらぜひこの記事を思い出してみてください。