この記事を読むのに必要な時間は約12分です。
泡盛・焼酎・日本酒は全て日本で作られている無色透明のお酒です。
ビールやカクテルと比べるとアルコール度数が高く、飲んだことがない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、泡盛と焼酎と日本酒の違いについてまとめました。
同じ透明のアルコール度数の高いお酒ですが、この3つのお酒には様々な違いがあります。
このページの目次
泡盛と焼酎と日本酒の違い
泡盛と焼酎と日本酒は3つとも無色透明で、日本独自のお酒です。
この3つのお酒には様々な違いがあります。
泡盛と焼酎と日本酒の味の違い
泡盛と焼酎と日本酒の中で一番個性的な味がするのは泡盛です。
人によって”バニラ”や”ヤギ”などの香りがすると様々な意見に分かれています。
一口飲むだけではなかなか全容を知ることができない奥深いお酒です。
焼酎は非常に多くの原料が使われ、原料が味に反映されます。
焼酎の味もひとくくりで表すことは難しいですが、本格焼酎と呼ばれる焼酎には原料にちなんだ独特のクセがあります。
チューハイなどで使う焼酎はすっきりとして、クセのない味わいの焼酎が使われます。
日本酒は泡盛や焼酎のような独特のクセはありません。
一般的に値段の高い日本酒の大吟醸は、味がしっかりしていて香りが高くフルーティーさを感じることが多いです。
泡盛と焼酎と日本酒の飲み方の違い
泡盛や焼酎はアルコール度数が高いため、水やお湯などで割って飲むのが一般的です。
中には氷を入れて少しずつ溶かしながらロックで飲む方もいます。
焼酎の一番メジャーな飲み方は、炭酸水やレモンなどを入れる”チューハイ”です。
日本酒はストレートで冷やして飲む”冷酒(れいしゅ)”・常温で飲む”冷や酒(ひやざけ)”・温めて飲む”熱燗(あつかん)”が一般的な飲み方です。
細かい温度の違いによって様々な呼び方をするのも日本酒の独特の文化です。
最近では日本酒カクテルに使われることもありますが、基本的に何かで割って飲むことはほとんどありません。
泡盛と焼酎と日本酒の酔い方の違い
体質にもよりますが、泡盛や焼酎よりも日本酒の方が酔いやすいお酒です。
日本酒の方が酔いやすい理由は、製造工程の違いにあります。
日本酒は製造工程で、原料の不純物がアルコールに混ざります。
不純物の影響で日本酒は豊かな風味が得られますが、酔いやすいお酒になっています。
泡盛や焼酎の製造工程では不純物が混じりにくいため、日本酒よりは酔いにくいお酒に仕上がります。
不純物の混じったアルコールは肝臓が体内でアルコールを分解する時に負担がかかりやすく、酔いやすくなります。
体質によって個人差があるため、酔いにくいお酒でも飲み過ぎは危険ですので注意してくださいね。
泡盛と焼酎は料理酒としては使えない!?
泡盛や焼酎は製造工程でアルコール以外の不純物がとても少ないため、”料理酒”としては使われません。
料理に使っても熱でアルコール分が飛んで何も残らないからです。
日本酒は不純物を含め、様々な成分が多く混ざっているため”料理酒”としてよく使われます。
風味豊かな味わいが料理をより美味しくしたり、素材を柔らかくしたりするのに役立つからです。
同じような工程で作られるワインも料理によく使われています。
泡盛と焼酎と日本酒のカロリーの違い
日本酒に比べると、泡盛や焼酎の方がカロリーが低いお酒です。
日本酒は糖質が含まれているため、カロリーが高くなってしまいます。
泡盛や焼酎には糖質やたんぱく質が含まれていません。
そのため、ビールやカクテルなどの高カロリーなお酒よりカロリーを気にせずに飲むことができます。
泡盛と焼酎と日本酒の原料の違い
泡盛と日本酒の原料は”米”です
焼酎は二つの工程に分かれており、最初の工程では米か麦を原料に使います。
二回目の工程で米・麦・芋・黒糖・そば・シソなど様々な原料を足して仕込まれます。
麦焼酎・芋焼酎・黒糖焼酎など様々な種類の焼酎が店頭で販売されています。
二回目の工程で複数の原料を混ぜることはあまりありません。
泡盛と焼酎と日本酒の分類の違い
日本酒は醸造酒で、焼酎と泡盛は蒸留酒に分類されています。
泡盛は酒税法上では焼酎と同じグループに分類されているため、基本的には焼酎の仲間です。
日本酒の作り方
日本酒は醸造酒という分類のお酒です。
米に麹や酵母を加えてアルコール発酵させて”もろみ”というお酒の元を作ります。
もろみを絞ると日本酒が出来上がります。
比較的単純で、古くからあるお酒の作り方です。
作り方は少し違いますが日本酒の他にもビール・ワインも醸造酒の仲間です。
泡盛と焼酎の作り方
泡盛と焼酎は蒸留酒です。
もろみを作るところまでは日本酒とほぼ同じ工程で行われます。
焼酎は”二次仕込み”を行い、もろみをアルコール発酵させた上で蒸留します。
蒸留とは加熱して出た蒸気を集めて冷やして液体にすることです。
小学校の時に理科の実験でやったことがあるかと思いますので、思い出してみてください。
泡盛は二次仕込みを行わず、もろみを蒸留してお酒にします。
焼酎や泡盛以外にも、ウィスキー・ブランデー・ウォッカ・ラム・ジンなどが蒸留酒の仲間です。
泡盛と焼酎と日本酒のアルコール度数の違い
泡盛や焼酎は蒸留過程で高純度のアルコールが取り出されます。
基本的にアルコール度数が高めで、平均30度前後のお酒です。
中には50度近い焼酎もあります。
同じ銘柄の焼酎や泡盛でも、アルコール度数が違う商品があります。
泡盛や焼酎はそのままだとアルコール度数が高すぎて飲みにくいため、水を加えてアルコール度数を調節して販売するのが一般的です。
一昔前までは25度で販売されることが多かったのですが、アルコール度数が強すぎるため最近では20度の商品が多くなっています。
日本酒は酵母によるアルコール発酵のみで作られるため、高くても20度前後が限界です。
平均だと15~16度前後になります。
泡盛と焼酎と日本酒の保存期間の違い
泡盛と焼酎と日本酒はアルコール度数が高く、どれも賞味期限はありません。
封を開けた場合でも、泡盛と焼酎は劣化しにくく保存が効きます。
蒸留酒はもともと雑菌が増える元となる栄養素が少なく、アルコール度数も高いため、開封後に常温保存したとしても腐りません。
日本酒は醸造酒で、蒸留酒に比べると酸化や劣化が起こりやすいお酒です。
開封後はなるべく早めに飲むようにしてください。
中には開封後に数日置くことで旨みが増す日本酒もあります。
泡盛・焼酎・日本酒は高温や直射日光には弱いため、冷暗所や冷蔵庫の野菜室に入れて保存するようにしてください。
どのお酒もきちんと保存すれば熟成させることができます。
泡盛は三年以上開封せずに適切な保存をしていると古酒(くーす)と呼ばれるようになります。
泡盛と焼酎と日本酒について
泡盛と焼酎と日本酒について、作り方や初心者にオススメの飲み方などをご紹介します。
泡盛について
泡盛は分類上では焼酎の一種で、蒸留酒です。
本格焼酎の1つでもあります。
焼酎の中でも、
- 沖縄産
- タイ米が原料
- 黒麹菌(アワモリコウジカビ)と水と酵母だけを使用
の3つの条件が揃っているお酒が泡盛と呼ばれています。
泡盛の作り方
泡盛を作るときは常圧蒸留という方法で行われます。
常圧蒸留は古くから行われている伝統的なやり方で、蒸留させる器の中と外を同じ気圧のまま蒸留する方法です。
外と同じ気圧で蒸留するため、沸点は90~100度前後になります。
常圧蒸留を何度も行うことでアルコール度数を高くして、タイ米の風味を泡盛の味に反映させることができます。
また、泡盛は全麹仕込みと呼ばれる1回の仕込みで作られます。
他の焼酎のように二次仕込みを行いません。
これは沖縄が高温多湿のため、1回で仕上げないともろみが腐ってしまうからだそうです。
初心者にオススメの泡盛の飲み方
初めて泡盛を飲む場合は、度数が低めの”マイルド泡盛”が飲みやすいです。
ソーダ割りにするとライトで爽快な味わいが楽しめますよ!
焼酎について
焼酎も泡盛と同じ蒸留酒にあたります。
焼酎は連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎に分かれます。
以前は連続式蒸留焼酎を”焼酎甲類”、単式蒸留焼酎を”焼酎乙類”と呼んでいました。
今でも甲類・乙類の呼び方は広く一般的に使われています。
甲類はクセのない味わいでチューハイなどによく使われます。
乙類は原料の香りや味が反映されている独特な味わいがします。
本格焼酎と呼ばれる焼酎は基本的に乙類です。
焼酎の作り方
連続式蒸留と単式蒸留は蒸留の工程が違います。
連続式蒸留は比較的新しい製法で、一度に連続して蒸留することでアルコールだけを取り出す方法です。
コストが安く、大量生産に向いています。
単式蒸留は昔から行われていた製法で、アルコール以外の成分も取り出すことで原料の持ち味を生かします。
高濃度のアルコールを取り出すために何度も蒸留しなければいけないため、コストや手間がかかり大量生産ができません。
常圧蒸留と減圧蒸留
単式蒸留はさらに常圧蒸留と減圧蒸留に分かれます。
常圧蒸留は泡盛と同じく、外と同じ気圧で蒸留する方法です。
原料本来の味と香りをふんだんに取り出せる蒸留方法として知られています。
減圧蒸留は新しい蒸留製法で、真空に近い状態で蒸留します。
圧力を下げることで沸点が低くなり、50度ほどで沸騰して蒸留できるようになります。
低温で蒸留することで、クセの少ないやわらかな焼酎を作ることができます。
初心者にオススメの焼酎の飲み方
お酒がそこまで得意ではないという方はチューハイや、連続式蒸留焼酎である焼酎甲類を飲んでみてください。
チューハイは様々な味があるので、初心者には飲みやすいです。
本格的に焼酎を楽しみたい方は、単式蒸留焼酎である乙類の中でも、麦・米・黒糖焼酎が飲みやすいです。
少し変わり種ですがシソ焼酎もすっきりとした味の中にほのかにシソが香るため、女性に人気です。
シソが苦手でなければオススメですよ。
日本酒について
日本酒は3つのお酒の中で唯一の醸造酒です。
日本酒は原料の違いによって本醸造酒・純米酒・吟醸酒などに分かれています。
手間に比例して、上品で濃厚な香りと味のある日本酒に仕上がります。
醸造方法は3つともそこまで大きな違いがありませんが、ラベルに「特別○○酒」と書いてある日本酒は特別な製造過程を経て生産されている日本酒です。
日本酒の作り方
日本酒は原料の違いによって分類が分かれています。
醸造アルコールを入れて作ると本醸造酒になり、入れずに作ると純米酒・吟醸酒と呼ばれます。
醸造アルコールは日本酒の香りを引き立たすために使われ、手軽においしい日本酒を作ることができます。
また、使う原料のお米の磨き具合によっても呼び方が異なります。
お米の磨き具合を精米歩合と言い、玄米から精米するときにどれだけぬかなどの余計なものを除去したかを表しています。
割合が低いほどお米以外の余計な成分が少なく、高度に精米された原料になります。
- 精米歩合が70%以上を本醸造酒
- 60%以上を吟醸酒
- 50%以下を大吟醸酒
と呼びます。
ラベルに純米大吟醸酒と書いてあると、醸造アルコールを入れずに精米歩合が50%以下のとても手間がかかった日本酒ということが分かります。
初心者にオススメの日本酒の飲み方
本醸造酒は焼酎の甲類に近く、アルコールの味が強いため苦手な方も多いです。
日本酒の香りと味を楽しみたい場合は、比較的すっきりとした飲み口の”吟醸酒”や”大吟醸酒”が飲みやすいので試してみてください。
日本酒によってはとてもフルーティーで、初めての方でも飲みやすい銘柄もあります。
まとめ
泡盛・焼酎・日本酒は全て無色透明でお酒をあまり飲まない方が見ただけでは違いがわかりません。
どれも日本で作られているアルコール度数の高いお酒です。
泡盛は焼酎の1つの種類ですが、日本酒は違う種類のお酒です。
- 味
- 飲み方
- 酔い方
- カロリー
- 分類
- 作り方
- アルコール度数
- 保存方法
など様々な違いがあります。
泡盛と焼酎は共通点が多いですが、製造過程が途中から異なり、焼酎には原料によって様々な風味のお酒があります。
日本酒は原料や米などの違いによって味が変わります。
まだ飲んだことない方や、試してみたい方は少しずついろいろな種類のお酒を試して好みを見つけてくださいね。
泡盛・焼酎・日本酒はどれもアルコール度数が高いため、飲み過ぎには注意してください。
特に日本酒は二日酔いになりやすいですよ!