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部屋の中で履くスリッパ。
靴を脱いで生活する日本人には、馴染み深い履物の1つです。
普段何気なく使っている言葉ですが、もともとの語源を知っていますか?
スリッパの語源は英語です。
そこで今回は、スリッパという言葉の語源や由来についてまとめました。
このページの目次
スリッパの語源は何語?
スリッパは英語の「slipper」が語源になった外来語です。
英語の「slipper」は、「slip」(滑る)から生じた言葉です。
足を滑り込ませて履くことができる履物という意味です。
スリッパには屋内用と屋外用がありますが、日本でスリッパと言うと屋内履きを指すことが多いです。
かかとの高さがなく足の前側のみを覆った履物です。
スリッパの歴史と名前の由来
明治時代のはじめ鎖国していた日本は開国により、西洋人がたくさん出入りするようになりました。
外国と交流のほとんどなかった日本人にとって、西洋人の下履きのまま屋内へ入り込む習慣は驚きでした。
これを解決するために、仕立て職人の徳野利三郎が考えだしたのがスリッパの原型です。
最初は下履きの靴を履いたまま履くような形でした。
上靴(ウワグツ)上沓(ジョウカ)と呼ばれました。
この上靴、上沓の英訳とされたのが「slipper」でした。
当時は英語を使うことが「ハイカラ」で、おしゃれだったため「スリッパー」と呼び続けて現在に至ります。
このスリッパの原型が登場したのは、1907年、1876年、1868年という3つの説があります。
福沢諭吉の著書「西洋衣食住」の中でも、「スリップルス」と紹介されています。
日本語の「スリッパ」と英語の「slipper」の違い
屋内用の上履きと屋外用の下履きがありますが、日本でスリッパと言う時は屋内用の上履きを指すことが多いです。
スリッパの形に決まりはありませんが、日本で一般的に使われる屋内用のスリッパにはいくつか特徴があります。
- かかとの部分の高さが全くないこと。
- 留め具や結び紐が無いこと。
- 足の前側部分のみを覆うこと。
の3点です。
英語の「Slipper」
日本の一般的な「スリッパ」と英語の「slipper」は全く同じ履物を指していません。
欧米では屋内でも基本的に外履きの靴を履いたままです。
日本で一般的な屋内用のスリッパは、自室や風呂場で使われることが多いです。
寝室で使われるものは「bedroom slipper」、風呂場用は「bath slipper」という言い方をします。
日本のスリッパは、外国ではあまり一般的ではありません。
外国で「slipper」と言うと、日本の学校で履く上靴のようなものを指します。
「低いかかとのある、軽い上履き」という意味です。
日本で、部屋の中で履く「スリッパ」は、外国では「mule」「scuff」と言います。
この2つの単語は、かかとのないつっかけ式のスリッパを指します。
微妙なニュアンスの違いがありますので、外国で「スリッパ」を使う時は注意が必要です。
外来語とは?
スリッパという言葉は英語の「slipper」の外来語です。
外来語は、日本語以外の言語から借り入れられ、日本語と同じように日常的に使われるようになった言葉のことです。
漢語ももともとは外来語ですが、漢語は除いて考えることが一般的です。
カタカナで書かれることが多いので、カタカナ語と呼ばれることもあります。
スリッパという言葉も元は英語で、日本でも使われるようになった言葉です。
外来語には、次のようなものがあります。
- オクラ(ガーナのトウィ語のnkramaの外来語)
- カッパ(ポルトガル語のcapaの外来語)
漢字の合羽や雨合羽は江戸時代から使われはじめた当て字です。 - カルタ(ポルトガル語のcartaの外来語)
- タイフウ(台風)
英語のtyphoonの外来語
明治の終わり頃に、気象用語として、漢字で颱風と書くようになり、戦後に今の漢字になりました。 - タバコ(煙草)
スペイン語やポルトガル語のtabaco(tabacco)が語源。 - メンツ(面子)
中国語の面子(ミェンズ)が語源。
外国の言葉が語源になっているとは気付かないほど、当て字が使われて日本語に浸透しているものばかりです。
他にも、スリッパと同じように英語を語源とする外来語もたくさんあります。
- アート(英語のartの外来語。)
- エプロン(英語のapronの外来語。)
- ジレンマ(英語のdilemmaの外来語。)
- ノウハウ(英語のknow-howの外来語。)
- ハッピー(英語のhappyの外来語。)
- マイレージ(英語のmileageの外来語。)
など、本当に挙げればきりがないほどたくさんの外来語が今の日本語の中には浸透しています。
外来語と和製外来語との違い
和製英語は日本語以外の言語の言葉を元にして、日本で作られた元の言語には存在しない言葉のことです。
和製外来語の中でも、英語が元になった和製英語は特に多いです。
オートバイ・ガソリンスタンド・ジーパン・ノートパソコン・ベビーカーなどは和製英語です。
オートバイという英語はなく、英語ではmotorcycleと言います。
同様にガソリンスタンドはgas station、ジーパンはjeans、ノートパソコンはlaptop、ベビーカーはbaby carriageと言います。
外来語と和製外来語の大きな違いは、外来語は語源となった言語に言葉が存在しています。
日本語のスリッパは、英語でslipperです。
まとめ
スリッパの語源や由来は英語です。
英語の「slip(滑る)」という言葉から生じた「slipper」が語源になっています。
直訳すると足を滑り込ませて履くことができる履物という意味になります。
日本でスリッパと言うと、かかとの高さがなく、足の前側のみを覆った室内履きのことを指すのが一般的です。
日本のスリッパのような形状の履物は外国ではあまり一般的ではありません。
寝室で使われる「bedroom slipper」や風呂場用の「bath slipper」程度です。
外国で「slipper」と言うと、日本の学校で履く上靴のようなかかと覆われた履物を指します。
日本では部屋の中で履く「スリッパ」は、外国では「mule」「scuff」と言います。
言語による微妙なニュアンスの違いがありますので、外国で使う時は気をつけてくださいね。
日本には、スリッパ以外にも様々な外来語や和製外来語があります。
日本語と同じような感覚で、日常的に使われています。
もともと日本以外の国で使われていた言葉が、人が行き来することで言葉も交流するなんて面白いと思いませんか?
言語によっては、微妙にニュアンスが違う言葉もありますので注意してくださいね!