成人式に既婚者は留袖じゃないとだめ?振袖を着ても大丈夫?

この記事を読むのに必要な時間は約6分です。

人生の大きな節目の成人式。

多くの女性が華やかな振袖で出席しています。

一生に一度の成人式は着物や帯、小物などの柄や色合い、ヘアセットや髪飾りなど、着物で思う存分着飾れる場です。

既婚者の場合、振袖を着たくても留袖にしないといけないのでしょうか?

そこで、今回は成人式で既婚者が留袖ではなく、振袖を着るための方法をまとめました。

成人式に既婚者は留袖じゃなくても大丈夫?

振袖を着た女性のイラスト

振袖は未婚女性の第一礼装です。

本来なら既婚者が着るにはふさわしくありません。

未婚女性が振袖を着るという正しい意味を知っている方からすると、マナー違反だと思われることもあります。

しかし、現在では着物を着ることが日常的ではなく、特別な時に着る服装になっています。

既婚者でも気にせずに振袖を着ても大丈夫です。

成人式は一生に一度しかありません。

成人式以外で振袖を着る機会がない可能性もあり、既婚者でも留袖ではなく振袖を選ぶ方もいらっしゃいます。

既婚者でも子供がいなければ着ても良いとする場合や、小振袖を着る地域もあります。

着物の予約する際に、地域のルールなどをレンタル衣装店や、着物屋さんで確認しておくことをオススメします。

成人式で振袖を着る意味

成人式で振袖を着ている女性とスーツ姿の男性のイラスト

振袖は体温を逃がすことなどを目的とした振り八つ口の開いた子供用の小袖が由来です。

当初は色や柄などに差はなく、男女ともに着られていました。

大人になった証として、男子は17歳頃、女子は19歳頃に袖を短くし、脇をふさぐ風習がありました。

成人を祝う通過儀礼を元に、未来を担う若者たちに希望を持ってもらおうと始まったのが成人式です。

その為、法律的に成人となる20歳の時に第一礼装である振袖を着ることが選ばれています。

第一礼装で式に臨むことで、大人になったという自覚を持ち、親に感謝の気持ちを伝えるという意味もあります。

振袖を着るもう一つの意味

袖を振る仕草は厄払いや清めの儀式にも通じていました。

成人式の前年は女性の本厄にあたります。

本厄は、男女ともに肉体的にも精神的にも変化が訪れやすい時期で、本人だけでなく家族にもあてはまるといわれています。

成人式という人生の門出に身を清めるという意味もあり、振袖が選ばれています。

心身ともに順調に成長し、成人を迎えられたことを家族全員で祝福し、これからの人生の幸せを祈願する、それが振袖を着るもう一つの意味です。

未婚女性が振袖を着る意味

江戸時代には、女性の袖丈がどんどん長くなっていき、長いものでは120cm以上ありました。

諸説ありますが、舞踊において袖丈を長くすることで美しく見せる為だったともいわれています。

また、長い袖は恋愛でのサインとして使われるようになりました。

江戸時代には女性から思いを伝えることは”はしたない”とされ、禁じられていました。

踊り子たちは袖の振り方で思いを伝える仕草を、未婚女性が真似するようになったのです。

男性からの求愛に「好き」と伝える時は振袖を左右に振り、「嫌い」と伝える時には、振袖を前後に振っていました。

現在の「ふった」「ふられた」は、ここから来ています。

既婚者になると、意思表示の長い袖は必要なくなるため、振袖は未婚女性の着る第一礼装となりました。

振袖にも種類が

振袖と聞くと成人式で着られている派手な着物をイメージしますが、袖の長さで3種類に分けられています

「大振袖」は袖の長さが110センチメートルを超えるもので、振袖の中でも一番格式の高い着物です。

「本振袖」とも呼ばれ、主に結婚式で新婦が着る着物です。

成人式で着られる振袖は「中振袖」です。

袖の長さが95~100cm前後で、結納などにも使われます。

「小振袖」は卒業式などでの袴に合わせられることが多い着物です。

袖の長さは二尺(85cm前後)で「二尺袖」とも言われています。

振袖の中でも一番短いため、地域によっては既婚者が着る振袖に選ばれています。

成人式で振袖をに着ない場合は何を着る?

留袖の母と振袖の娘のイラスト

成人式に既婚者なので「振袖はちょっと…」と思われる方はスーツを着て行く選択肢もあります。

スーツの場合、既婚か未婚かに関わらず着ることが出来ます。

華やかな場にどうしても着物を着たいという場合は、留袖でなければならないと言われています。

留袖が既婚者の第一礼装だからです。

しかし、留袖にも種類があります。

結婚式で新郎新婦の母親が着るような黒留袖は、格式は高いですが成人式には浮いてしまいます。

色留袖という、紋の付いた格式の高い着物もあります。

色留袖は下半身しか模様が入っていないため、成人式に出席するには華やかさに欠けます。

そこで、着物を着たい方には訪問着をオススメします。

訪問着は上半身にも模様があり、落ち着いた印象で、気品のある装いになりますよ。

付け下も選択肢の1つですが、訪問着よりも模様が控えめなので地味な印象になってしまいます。

まとめ

成人式を華やかにお祝いする為に既婚者でも振袖を着ることはマナー違反だと指摘されることは少なくなりました。

既婚者であっても留袖ではなく、振袖で出席されている方も多くいらっしゃいます。

地域のルールなどを調べてみて振袖で出席しても大丈夫か確認してから振袖を着ることをオススメします。

既婚者の場合、夫や義母などが未婚女性の礼装の振袖を着ることに抵抗がある方もいるかもしれません。

自分だけで決めるのではなく、家族にも相談して何を着て出席するのか決めることも大切です。

成人式で着物を誂える(あつらえる)と高額になります。

年齢に合わせて帯や小物を変えたり、お直ししたりと長く着ることが出来るのも良さの1つです。

最近はレンタルが主流ですが、成人式に合わせて振袖を誂える時には中振袖にして、結婚した後は袖を直して着る方もいらっしゃいます。

また、中振袖で誂えたものを親から子へ、子から孫へと受け継いで着て行くことも出来ます。

成人式を迎える前に母や祖母などの着物が眠っていることはないでしょうか?

もしそういった着物があったら、お手入れやお直しをして、成人式という晴れの日に着るのもよいかもしれません。