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スタッドレスタイヤを買う時に「なぜスタッドレスタイヤは滑らないのかな?」と思われましたか?
スタッドレスタイヤには特殊な仕組みと原理が働いています。
今回はスタッドレスタイヤの仕組みと原理についてまとめました。
ノーマルタイヤとの違いや、スタッドレスタイヤの選び方もお伝えします。
このページの目次
スタッドレスタイヤの仕組みと原理
スタッドレスタイヤは凍結した道路や積雪した道路を走るために開発された冬用タイヤの1つです。
ノーマルタイヤではツルツル滑って危ない冬道の路面をしっかりと捉えて車をコントロールできるようにします。
冬の道でタイヤが滑る原因は道路の上の氷や雪が原因です。
車が走る時、氷や雪が車の重さによって溶け出して水になります。
走っているとわかりませんが、一瞬で溶けた水がタイヤを覆って膜を作ります。
その”水の膜”がグリップ力を失い、スリップする原因です。
スタッドレスタイヤが滑らない仕組みと原理
スタットレスタイヤでは、”水の膜”がタイヤに吸収または撥水されるように、細かい溝がついています。
細かい溝のことを”サイプ”と呼びます。
サイプが水の膜を吸収または撥水することによって滑る原因をなくして、しっかりとグリップする仕組みになっています。
スタッドレスタイヤの前はスパイクタイヤ
スタッドレスタイヤが日本に初めて登場したのは1982年です。
1970年代はスパイクタイヤが冬用タイヤとして使われていました。
スパイクタイヤはタイヤに金属製のスパイクが入っています。
スパイクが削れ、道路を傷つけ、細かい粉を撒き散らします。
道路補修費用や健康被害が起こったため1991年に使用が禁止されました。
スタッドレスタイヤの名前の由来
スパイクのないタイヤのため、スタッドレスタイヤ(STUDLESS TIRE)と呼ばれるようになりました。
スタッド(スパイク)を抜いたタイヤという意味です。
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤの違い
スタッドレスタイヤとノーマルタイヤには2つの大きな違いがあります。
- タイヤのゴム
- タイヤの溝
です。
タイヤに使われるゴムの違い
ノーマルタイヤは暑い夏に長時間運転しても耐えられるように硬いゴムが使われます。
一方のスタッドレスタイヤは柔らかいゴムが使われます。
ノーマルタイヤの場合は気温が低くなりすぎるとゴムが固くなりますが、スタッドレスタイヤのゴムは固くなりにくいです。
ゴム自体もグリップ力を高める工夫がされていたり、水分を吸収できる仕組みになっています。
毎年タイヤメーカーはより安全なスタッドレスタイヤを作るために最新の技術を研究しています。
3年以上経過したスタッドレスタイヤはゴムが固くなることがあるので、使用する前に車屋さん等で点検してから使うようにしてください。
タイヤの溝の違い
ノーマルタイヤの場合は路面との摩擦を少なくして快適に、燃費効率を上げて走ることが求められます。
そのため、溝の深さもスタッドレスタイヤに比べると浅めです。
雨の水を逃がす役割を果たすために掘られています。
スタッドレスタイヤの場合は路面をしっかりとグリップするように深めの溝が掘られています。
深い溝には雪道を走る時に雪をかき出す役目もあります。
また、溝の間には”サイプ”と呼ばれる細かい溝がたくさん見られます。
このサイプで氷や雪の上の水分を吸収または撥水してグリップが得れるようになっています。
スタッドレスタイヤのメリットとデメリット
冬場にスタッドレスタイヤに履き替えるメリットとデメリットをまとめました。
ノーマルタイヤの場合はチェーンを装備したケースを想定しています。
スタッドレスタイヤのメリット
- いざ雪が降ってもすぐに車を発車させれる
- チェーンを巻く手間がかからない
- チェーンに比べて耐久力がある
- チェーンを巻いて走るよりスピードが出せる
- チェーンを巻いているより静かに走れる
スタッドレスタイヤのデメリット
- ゴムが柔らかいため雪や氷のないアスファルトを走ることが多いと摩耗が激しい
- 雨の日はノーマルタイヤより滑りやすい
- チェーンを買うより高い
- チェーンよりもグリップ力は弱い
- 夏場に置いておくのが邪魔
スタッドレスタイヤの選び方
スタッドレスタイヤを選ぶ時は以下の6点が選ぶための基準になります。
- サイズ
- 製造年月
- メーカー
- タイプ
- 価格
- 寿命
スタッドレスタイヤのサイズ
スタッドレスタイヤを選ぶ際はタイヤのサイズをしっかり確認してください。
タイヤのサイズは”215/45/R17”と記載されています。
サイズの見方は、タイヤの幅が215mm、タイヤからホイールの間(偏平率)が、タイヤの幅の45%(約97mm)、タイヤの内側の直径が17インチという意味です。
ノーマルタイヤとは違うホイールに装着する場合は事前にホイールに合うタイヤのサイズを確認してください。
スタッドレスタイヤの製造年月
スタッドレスタイヤは時間が経つとゴムが少しずつ固くなっていきます。
タイヤには製造年週が表記されています。
ローマ字と数字が組み合わされていて、AB4017や、CDF4516などと記載されています。
ローマ字はメーカーのタイヤの型番で、後半4桁の数字が製造年と製造週になります。
写真の場合はFB5113とあるので、2013年の51週目、12月頃に生産されたことが分かります。
AB4017の場合、2017年の40週目、9月~10月辺り、CDF4516の場合、2016年の45週目、11月~12月辺りに生産されたタイヤになります。
なるべく製造週が近い物を選んでください。
スタッドレスタイヤのメーカー
スタッドレスタイヤのメーカーは国内メーカーと海外メーカーがあります。
国内メーカーは日本の冬を想定して研究開発しているので、海外メーカーのタイヤより日本での性能は優れていることが多いです。
海外メーカーはその国の冬を想定して研究開発しているので、値段は安いかも知れませんが、日本では性能を発揮できないことがあります。
スタッドレスタイヤのタイプ
スタッドレスタイヤには吸水タイヤと撥水タイヤがあります。
吸水タイヤは水をタイヤに吸いつけ、グリップ力を確保します。
撥水タイヤは水を弾いて水の膜を除去します。
今ではほとんど性能に違いはありません。
スタッドレスタイヤの価格
スタッドレスタイヤの価格と性能は比例しています。
高いスタッドレスタイヤの方が、氷と雪の上で滑りにくいように最新の技術が盛り込まれています。
タイヤは地面と車をつなぐ唯一の接点です。
命を守るためだと考えてなるべく性能の良いものをオススメします。
スタッドレスタイヤの寿命
スタッドレスタイヤのゴムはノマールタイヤに比べて柔らかいゴムでできています。
そのため、アスファルトをたくさん走る場合、1年で消耗してしまうこともあります。
メーカーによって走行距離や、経年数によって保証が異なります。
メーカーの保証が長い程タイヤの寿命が長いです。
スタッドレスタイヤは夏でも使える?
スタッドレスタイヤを夏場に装着することはオススメしません。
ノーマルタイヤに比べ、水たまりや、雨の時に滑りやすい特徴があります。
また、ゴムが柔らかいため、夏場に高速走行で長時間運転する時にバーストしてしまう恐れがあります。
できるだけノーマルタイヤとスタッドレスタイヤをシーズンごとに履き替えることをオススメします。
私のスタッドレスタイヤの買い方
私はブリヂストンのREVOシリーズを愛用しています。
全国各地、北から南まで行くので年間で3万キロ以上走ります。
そのため、スタッドレスタイヤは2年で履きつぶしてしまいます。
車を買い替えた時に前2本を新品で購入し、後ろ2本は1年落ちの中古タイヤを買うことが多いです。
2年目に再び2本新品を購入し、後ろのタイヤと交換して廃棄します。
前に履かせていたタイヤを後ろに回して、毎年2本ずつ交換してきます。
FF車に乗っていることもあり、前のタイヤの方が消耗が激しく、後ろはほぼ消耗しないからです。
また、1回で出ていく出費が少ないのも利点です。
タイヤは主にヤフーオークションで買って、車屋さんに直送してもらっています。
高性能四駆の場合はこの方法でタイヤを交換すると故障の原因になることがあるそうです。
まとめ
スタッドレスタイヤの仕組みと原理は、”サイプ”と呼ばれる細かい溝が水の膜を吸収または撥水するからです。
氷や雪の上を車が走ると車の重さで溶けて水になり水の膜ができます。
それがスリップする原因です。
その水の膜を”サイプ”で吸収または撥水されることによってタイヤがグリップする仕組みになっています。
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの違いはゴムと溝にあります。
スタッドレスタイヤの方が柔らかいゴムに深い溝が掘られているのが特徴です。
スタッドレスタイヤを選ぶ時は
- サイズ
- 製造年月
- メーカー
- タイプ
- 価格
- 寿命
を基準に選んでください。
スタッドレスタイヤについて理解して、あなたの走り方に合うタイヤを選んでください。
冬でも快適なドライブができれば嬉しく思います。