SP・EP・LPレコードの違いは?レコードのサイズや種類をまとめました!

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再び若者の間でレコード音源が流行っています。

海外の若者の間で古いレコードを求めて日本にやってくることもあります。

レコード屋さんではSP・EP・LPレコードの種類が書いてありますが、違いがよくわかりません。

レコードは収録時間や回転数の違いで呼ばれ方が違っています。

そこで今回はSP・EP・LPレコードの違いと歴史をまとめました。

SP・EP・LPレコードの違い

レコードのイラスト

SP・EP・LPはレコードの種類を表しています。

収録時間と回転数がそれぞれ違います。

  • SPはStandard Playの略
  • EPはExtended Playの略
  • LPはLong Playの略

です。

その他にもシングルレコード12インチシングルレコードドーナッツ盤、フォノシートなど様々な種類がレコードには存在しています。

SP・EP・LPレコードの収録時間の違い

SPレコードはレコードが誕生した頃の初期のレコードです。

収録時間は直径が10インチ(25cm)で片面3分、12インチ(30cm)で片面5分程度になります。

その次に登場したのがLPレコードとEPレコードです。

技術の進化により、LPレコードはSPレコードと同じ直径12インチ(30cm)に片面25分程録音することができるようになりました。

EPレコードは直径7インチ(17cm)に片面に5~8分程度録音することが可能で、2~3曲収録されていました。

SPレコードよりも小さくて長い収録が可能になりました。

シングルレコードやコンパクト盤やドーナッツ盤とは厳密には違いますが、日本では一般的にまとめてEPレコードと呼ばれています。

SP・EP・LPレコード回転数の違い

SPレコードは1分間に78回転と回転速度が早いです。

また、モノラルでの録音が主流でした。

1960年代まで製造されていましたが、今ではほとんど製造されていません。

LPレコードは1分間に33 1/3回転するため、別名33回転盤とも呼ばれていました。

EPレコードは1分間に45回転とSPレコードよりも遅く、EPレコードよりも早い回転数になります。

SP・EP・LPの回転数と収録時間の比較表

SP・EP・LPレコードのサイズと回転数と収録時間を表にまとめました。

レコード サイズ 収録時間 回転数
SP 10インチ 片面3分 78回転
SP 12インチ 片面5分 78回転
EP 7インチ 片面5分~8分 45回転
LP 12インチ 片面25分 33 1/3回転

中心穴は全てSP・EP・LP共に7.3ミリです。

その他のレコードの種類

レコードにはSP・EP・LP以外にも様々なレコードがあります。

また、呼ばれ方も様々で、回転数やサイズで呼ぶこともあります。

  • シングルレコード
  • ドーナッツ盤
  • コンパクト盤
  • 12インチシングルレコード
  • フォノシート

がレコードの他の主な種類です。

シングルレコードとドーナッツ盤

シングルレコードとドーナッツ盤は同じレコードで呼び方が違います。

EPレコードと同じ直径7インチ(17cm)で、回転数も45回転です。

そのため、45回転盤とも言われています。

A面とB面それぞれに1曲ずつ収録されています。

ジュークボックスで自動再生するために開発されました。

通常のレコードでは7.3ミリの中心穴が38ミリと大きく開けられていたため「ドーナッツ盤」と呼ばれていました。

また、EPレコードの中心部を切り取れるようにして、シングルレコードと同じサイズにできる物もありました。

CDのシングルCDのようなレコードです。

日本ではシングルレコードやドーナッツ盤の事をまとめてEPレコードと言うこともありますが、厳密には別物です。

コンパクト盤

コンパクト盤はEPレコードと同じ直径7インチ(17cm)で、回転数がLPレコードと同じ33 1/3回転のレコードです。

別名「コンパクトLP」、「17cm LP」、「ミニLP」など様々な呼ばれ方があります。

シングル曲に1~2曲追加されて発売されることが多かったです。

海外ではシングルレコード(ドーナッツ盤・EPレコード)が主流でコンパクト盤の生産はあまりされませんでした。

価格に対して、収録されている曲が多かったため、1960年代~70年代にかけて多く生産され、若者に人気でした。

CDのマキシングルやミニアルバムのようなレコードです。

12インチシングルレコード

12インチシングルレコードはLPレコードと同じ直径12インチ(30cm)に片面に1曲だけ収録されたレコードのことを指します。

ジャンボシングル」と呼ばれていたこともあります。

レコードの外側だけに録音するため、音質が良いのが特徴です。

回転数は33 1/3回転と45回転の2種類があります。

1曲の時間が長い場合など、7インチ(17cm)のレコードに収録出来ない場合に使われていました。

一般的にレコードは内側に行く程音質が落ちます
レコードが一定の回転速度で再生されるからです。
一周する時にレコード針がたどる距離が内側の方が外側よりも短くなるからです。
外側の方が一周の間に多くの音を録音でき、内側の方が少なくなるからです。
CDは内側と外側を読み込む時に回転数が調整されています。

フォノシート

ソノシートのイラスト

フォノシートは塩化ビニールで出来た片面だけ録音された薄いレコードです。

日本では朝日スノラマの「ソノシート」の名前で知られています。

シートレコードとも呼ばれています。

生産コストが安かったため、主に子供向けの雑誌の付録に使われていました。

回転数は33 1/3回転または45回転で生産されることが多かったです。

レコードの歴史

レコードが世界で初めて発明されたのは1857年のフランスです。

その頃は録音はできましたが、再生することができませんでした。

初めて再生可能なレコードが登場したのは1877年で、エジソンが録音・再生ができる「フォノグラフ」を発明した時でした。

10年後の1887年にドイツ人のベルリナーによって実用的な物になりました。

初期はSPレコードだけだった。

蓄音機のイラスト

まだ技術が発達していなかった頃、レコードの回転は「ぜんまい式」で手動でした。

そのため、回転数を一定に保つことが難しく、ぜんまいが緩むと回転数が落ちていました。

再生機に電気が使われるようになり、SPレコードの1分間78回転が主流になりました。

初期のレコードは酸化アルミニウムや硫酸バリウムの粉末を固めた混合物で作られており、割れやすい物でした。

1940年代後半まではSPレコードが主流で、当初片面しか録音できなかったレコードは両面録音へと進化しました。

日本では、1963年までSPレコードが生産されていました。

EP・LPレコードの誕生

ジュークボックスのイラスト

1947年にLPレコードが開発されると、レコードの収録時間が一気に伸びました。

素材も1950年代から塩化ビニール製のレコードが主流になります。

今まで片面に3分~5分しか録音できなかった音を片面に25分も録音できるようになったからです。

そして、1949年にビクターがアメリカでEPレコードと同じ大きさの7インチ(17cm)のシングルレコードを発売します。

ジュークボックスで連続して曲をかけるのが目的として開発されたため、機械で扱いやすように中心の穴が38ミリになっていました。

日本では通称「ドーナッツ盤」はアメリカのシングルレコードになります。

その後、45回転で穴が通常のレコードと同じ7.3ミリのレコードが7インチ(17cm)サイズでEPレコードとして発売されました。

現在発売されているレコード

現在ではシングルレコードは7インチ(17cm)の45回転盤アルバムレコードは12インチ(30cm)の33 1/3回転で作られることが多いです。

自主制作でレコードを制作する時は、多くの場合回転数とサイズを選べます。

サイズは7インチ、10インチ、12インチの中から回転数は33 1/3回転または45回転のどちらかになります。

収録時間に合わせて選ぶのが一般的です。

レコードを生産する場合は多くのプレス工場で100枚単位から制作できます。

レコード制作の録音時間表

回転数 33 1/3回転 45回転
7インチ 4分 7分
10インチ 7分 12分
12インチ 14分 25分

レコードが再び注目されるように!

レコードを探す男性のイラスト

2000年代の後半から音楽はデジタル配信が主流となり、CDの売上が落ちました。

すると、海外ではミュージシャンがアナログレコードでリリースするようになりました。

レコードの売上はここ10年で約6.5倍に伸びています。

日本でもソニーの子会社が2017年に撤退したレコード生産に再び参入しました。

タワーレコードやHMVなどではレコードの販売コーナーが拡大しています。

まとめ

SP・EP・LPの違いはレコードの回転数と録音時間の違いです。

日本ではシングルレコードやドーナッツ盤の事をEPレコードと呼んでいます。

レコードが一般的になり始めた1900年代前半から1950年代頃まではSPレコードが中心でした。

戦後、アメリカでLPレコードが開発され、EPレコードとLPレコードが主流になりました。

現在ではアルバムがLPレコード、シングルがEPレコード(シングルレコードやドーナッツ盤)で生産されることがほとんどです。

自主制作する場合は録音時間に応じて回転数やサイズを選ぶことができます。

また、100枚からの少量生産が可能なこともメリットの1つです。

最近では海外を中心にデジタル配信ではなく、レコードで新譜をリリースするアーティストも出てきました。

市場規模も2000年代後半から6.5倍も伸びました。

ソニーの子会社がレコードを再び生産するまでになっています。