オランダとフランスの国旗はなぜ同じ赤・白・青が使われているの?

この記事を読むのに必要な時間は約9分です。

オリンピックやワールドカップなどで様々な国旗を見ます。

その中で違う国なのに同じ色や似た国旗を見かけることはありませんか?

特にヨーロッパの国で似たような国旗を使っている国が目立ちます。

そこで今回は同じ赤・白・青の3色ストライプのオランダとフランスの国旗の違いについてまとめました。

オランダとフランスの国旗の色が同じ理由

オランダの国旗とフランスの国旗は共に赤・白・青の三色旗(トリコロール)になっています。

同じヨーロッパにあり、ベルギーを挟んで距離も近いため「国旗の起源は似ているかも!?」と思ってしまいます。

しかし、この2国の国旗は全く別の理由で同じ色になりました。

オランダ国旗の色が赤・白・青になった理由

オランダ国旗

オランダの国旗は水平の三色旗で上から赤・白・青の順番になっています。

世界で最初の三色旗(トリコロール)と言われています。

1400年代終わり頃のオランダ国旗

1400年代の終わりの頃、オランダの国旗は白地に赤い月桂樹の旗が使用されていました。

1568年にスペインからの戦争戦争の際に先頭に立ったオラニエ公ウィレムのオラニエ家の紋章からオレンジ・白・青の旗が使われるようになります。

オラニエ家の紋章

三色はオラニエ家の紋章の真ん中にあった角笛からとされています。

オレンジは勇気、白は信仰、青は忠誠という意味があると言われています。

1600年頃まではまだ三色の順番も正確には決まっていませんでした。

1630年頃には順番も決まり、船に掲げられた際にオレンジと青は色あせやすかったため色の濃い赤と青に変わったとされています。

1637年には正式に国旗として決められました。

1900年前後にオランダがフランスに支配されていた頃、フランス国旗に近いため使用が禁止されていました。

1813年にオランダが独立した際に、再び現在の国旗に戻されました。

オリンピックやサッカーでオランダのチームカラーがオレンジなのは初期の国旗のオレンジが由来しういると言われています。

この国旗は縦長に掲揚してはならないと定められていますが、他の国で縦に掲げられたことがあるそうです。

フランス国旗の色が赤・白・青になった理由

フランス国旗

フランス国旗は垂直の三色旗で左から青・白・赤の順番になっています。

三色の意味は「自由・平等・友愛」とフランス憲法によって規定されています。

青が自由、白が平等、赤が友愛と言われていますが正確には明記されていません。
1789年7月に発案されてました。

フランス革命の際に軍が帽子に付けていた赤と青がパリの標章となり、白が加えられて国旗となったと言われています。

白はブルボン朝の象徴だった「白百合」が由来です。

歴史的に見るとオランダ国旗の方が先に存在していたことになります。

他にも同じ似た国旗や同じような色の国旗が!

他にもオランダやフランスの国旗と似た赤・白・青の三色を使っている国旗があります。

特に、オランダの国旗と近い国が目立ちます。

  • ロシア
  • ルクセンブルク
  • クロアチア
  • パラグアイ

などの国旗はオランダと同じ色や似た色の水平三色旗です。

ロシア国旗がオランダ国旗と同じ色の理由

ロシア国旗

ロシア国旗はオランダ国旗と色の順番が違う水平三色旗で白・赤・青になっています。

ロシア国旗には元となる説が複数あります。

オランダ国旗を元とした説とモスクワ大公国の紋章から来た説です。

モスクワ大公国の紋章

モスクワ大公国の紋章は赤地に白い白馬に青いマントの騎士になっていました。

その三色をオランダで造船を学んだ際に海軍の旗として同じように三色を並べて海上で見やすいようにしたと推測できます。

白は率直、青は名誉と純潔、赤は愛と勇気を表わすとされています。

公式には発表されていません。

1883年から1917年まで三色旗が使われていましたが、ソビエト連邦が誕生した際に使用されなくなりました。

その後ソビエト連邦が崩壊し、再び三色旗へと戻りました。

ルクセンブルク国旗がオランダ国旗と似ている理由

ルクセンブルク国旗

ルクセンブルク国旗はオランダ国旗と同様の水平三色旗で順番も赤・白・青です。

青色が薄く、水色に近い色になっています。

ルクセンブルク大公国の紋章

国旗の元はルクセンブルク大公国の紋章の三色が由来すると言われています。

紋章は青と白のストライプを背景とし、金の台座にライオンが描かれています。

赤がライオン、白が金の台座、青が背景の縦縞を表しているとされています。

1815年頃はオランダの国の一部でした。

1839年にベルギーが独立した際にオランダ本土と分断されます。

そこから独立国家として歩み初めました。

また、元々はオランダ国王が大公となっていた時代もありました。

今でも大公はオランダ王国の血筋を受け継いだ人物が務めています。

オランダの影響を受けたため、水平三色旗になったと推測できます。

国旗は1845年頃から使用されていましが、1972年に制定されました。

クロアチア国旗がオランダ国旗と同じ色の理由

クロアチア国旗

クロアチア国旗はオランダ国旗と同じ水平三色旗で順番も同じ赤・白・青のになっています。

国旗の中央に国章が描かれています。

1800年代や1900年代には国章も描かれておらず、オランダ国旗とほぼ同じ国旗が使われていたこともあります。

クロアチア国旗の赤・白・青の由来は「汎スラヴ色(はんすらぶしょく)」からです。

スラヴ人はヨーロッパの東側に住み、スラヴ語を離す民族です。

ウクライナやスロバキアチェコなどの国がスラヴ諸国になります。

汎スラヴ色には自由と革命の理想を象徴しています。

汎スラヴ色はロシアの三色旗が元ともされています。

ロシアの国旗がオランダによる影響であれば、起源はオランダ国旗とつながります。

パラグアイ国旗がオランダ国旗と同じ色の理由

パラグアイ国旗

パラグアイ国旗もオランダと同じ水平三色旗でで順番も同じ赤・白・青です。

国旗の中央に国章が描かれています。

パラグアイ国旗は1842年から使用されています。

赤・白・青の三色はフランスの国旗が元になったとされています

しかし、赤が正義、白が平和、青が自由と少し意味が異なります。

パラグアイ国旗の裏面

また、パラグアイ国旗は裏には国章と違うデザインが使われています。

表には国章が、裏には自由の帽子とライオンのマークが入っています。

世界でも珍しい裏表が違う国旗です。

似ていても微妙に違う所

国旗は国によって決められていて、色や縦横比などが微妙に違います

オランダとフランスの国旗は同じ三色に見えますが厳密に定められている色は違っています

また、オランダとルクセンブルクでは縦横比が違います

この記事に出てくる国旗の縦横比と赤・白・青を表にまとめました。

国旗の縦横比の違い

縦がに対して横1.5倍の2:3、横が縦の倍の1:2採用している国が多いです。

パラグアイだけ少し変わった比率をしていますが、比較的1:2に近くなっています。

日本の国旗は2:3です。

縦横比
オランダ 2:3
フランス 2:3
ロシア 2:3
ルクセンブルク 1:2
クロアチア 1:2
パラグアイ 11:20
日本 2:3

国旗の色の違い

今回は国によって定められている所はRGBで赤と白と青を比べました。

パラグアイは指定されいなかったので、WikiPediaにあった国旗を参考にしています。

日本の国旗も正確な色は指定されておらず、「紅色」とだけ定められています。

国名 (RBG) (RGB) (RBG)
オランダ 174,28,40 255,255,255 33,70,139
フランス 239,65,53 255,255,255 0,85,164
ロシア 213,43,30 255,255,255 0,57,166
ルクセンブルク 239,43,45 255,255,255 0,163,221
クロアチア 255,0,0 255,255,255 0,147,221
パラグアイ 214,39,24 255,255,255 0,53,169
日本 189,0,41 255,255,255

数字だけでは分かりにくいので一覧を色付して表にしてみしました。

微妙に各国の国旗の色が違うのがよく分かります。

国名
オランダ      
フランス      
ロシア      
ルクセンブルク      
クロアチア      
パラグアイ      
日本      

まとめ

オランダとフランスの国旗は同じ赤・白・青の三色旗ですが起源が違います。

両国とも元をたどると歴史的な紋章や人物などに由来しています。

また、オランダやフランスの国旗と同じ色や似た色の国の国旗もいくつかあります。

由来をたどるとオランダやフランスの国旗が元となっていることが推測できました。

国旗の色や比率を比べると国によって微妙に違います。

国によって色を明確に決めている国もあれば決まっていない国もありました。

似ている国旗を調べると、その国の歴史や国旗に込められた意味が詰まっていることが分かりました。

同じような疑問を持っている方の参考になれば幸いです。