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住んでいるお家が少し傾いているかもしれないと感じましたか?
さっそく簡単にできるビー玉を使った簡易的な方法で一度お家に傾きがないかチェックしてみてはどうでしょうか?
ビー玉が転がったからといって「家が傾いている!大変だ!」と思わないでください。
今回は気になるお家の傾きをチェックするために、住宅診断専門家が利用する道具とやり方をまとめました。
まずはご自身でできることから試してみてください。
このページの目次
ビー玉で簡単に家の傾きをチェックする方法
家の傾きをチェックする方法は、お家で簡単にチェックできるものから住宅診断の専門家が利用するプロの道具まで様々です。
一番簡単にお家の傾きをチェックする方法はビー玉が転がるか確認する方法です。
ビー玉を床に置き、ビー玉の転がる方向や速度をチェックします。
「ビー玉が転がったから傾いている!」と早合点してはいけません。
ビー玉の転がる方向や速度を見て判断して下さい。
ビー玉の速度で家の傾きをチェック!
ビー玉の転がる速度がゆっくりの時
特にリフォームなどで直す必要ありません。
建物を建てた時の許容範囲です。
築年数が経っているのにさほど傾きがなければ優良な建物と言えます。
ビー玉の転がる速度が速い時
傾きが大きい可能性があります。
リフォーム業者などに相談した方が良いかもしれません。
窓やドアを開閉して引っかかったりしないかも確認してください。
複数の部屋でビー玉を置いたら、同じ方向に転がる時
住んでいて傾きを感じるレベルかも知れません。
窓やドアにきしみがあったり、台所や洗面所で水を張った時に傾きがある場合は不同沈下等の可能性があります。
建物の耐震強度が弱く、大きな地震で倒壊するかもしれません。
早めにお家の傾きを改善した方が良いかも知れません。
住み続けていると、体調不良につながることもありますのでお気をつけください。
不同沈下とは?
建物の基礎や建物自体が傾いて沈んでいること。
地盤に問題があったり、建物に問題があったりと原因は様々です。
ひどい場合は家が倒壊する可能性もあります。
プロが使う家の傾きをチェックする道具
プロが使う道具で家の傾きをチェックする方法は多種多様です。
傾きをチェックする場所や、建物、敷地によって道具を使い分けています。
レベル測定器
地盤の傾きをチェックするためには、レベル測定器を使用します。
レベル測定器にもいくつか種類がありますが、ほとんどの専門家が利用しているのは、“オートレベル”という測定器を使っています。
オートレベルとは望遠鏡のような形をしている機械で、覗くと水平を自動で補正してくれる機械です。
一般的な使用方法は、建物の周りにレベル測定器を水平に置きます。
建物の四隅と各四隅を結ぶ中間点の8ヶ所を基準点としてチェックして、基礎と外壁の間にある“水切り”に大きな物差しのようなスケールを当て、目盛りを読み取ります。
目盛りの差が地盤と建物の高低差になり、地盤の傾き具合が分かります。
工事の前によく望遠鏡のようなものを覗いているのを見たことはありませんか?
それはレベル測定器を使って地面の傾きなどを調べているところです。
レーザー墨出器
建物の内部の傾きをチェックには、床の傾き、柱の傾きを確認することにより分かります。
レーザー墨出器とは、水平と垂直のレーザーが照射できる機械です。
レーザー墨出器を部屋の真ん中に置き、部屋の四隅にレーザーを照射します。
レーザーの出すの水平線と床の距離、垂直線と部屋の隅の差を測ります。
床にどれぐらい傾きがあるのか、部屋の隅がどれぐらい傾いているのかを、測ることができます。
屋外での下げ振り
建物の傾きをチェックするために、2階もしくは3階の窓から、下げ振りという糸の先におもりを付いたものをぶら下げます。
糸の上部と重りの付いた下部で、外壁との差がどれぐらいあるかをチェックすることにより、建物にどれくらい傾きがあるかを調べることができます。
上部で60mm、下部で20mmの場合は40mm建物が傾いていることになります。
屋内での下げ振り
部屋の中の傾きをチェックするためにも下げ振りが使えます。
部屋の中では柱の上部に下げ振りを当てて使います。
下げ振りの糸と柱の上部と下部の差を測ることにより、部屋の傾きをチェックすることができます。
上部で10mm、下部で30mmの場合は20mm部屋が傾いていることになります。
下げ振りで傾きをチェックする方法
“下げ振り”は釣りの重りと糸でも作ることができるのでご自身でも確認することができます。
市販のものも安いものでは約800円から販売されています。
ビー玉を転がして傾きが気になった場合は合わせて下げ振りでも傾きを確認してみてください。
なるべく建物のいろいろな場所で確認することをオススメします。
傾きの事例
建物に傾きがある場合、どれぐらいの傾きでどのような症状が現れるのでしょうか?
外部と内部の傾きを調べた結果に基いて症状をご紹介します。
建物外部に傾きがある場合
約100㎡の建坪のお家についての事例です。
レベル測定器を使い、建物の端と端をチェックした結果を元にしています。
20mm程度の傾きの場合
特に影響はありません。許容範囲です。
新築で建てた場合でも20mm以下の傾きが出るケースもあります。
40mm程度の傾きの場合
土間のコンクリートにひびが入ったり、基礎に細かいひび割れが出てくることがあります。
少しずつ傾きを感じることもあります。
60mm程度の傾きの場合
コンクリートの土間やタイルにひびや亀裂が入ります。
建物の基礎やや外壁にも、ひび割れが見られるようになります。
特に換気扇の周辺や窓の周りの壁は弱いのでひび割れが出やすいです。
80mm程度の傾きの場合
いろいろな場所が傾きの影響を受けます。
土間のコンクリートには、大きめのひびや亀裂が入り、段差ができます。
建物の基礎や外壁のひびも目立つようになります。
家を囲んでいるブロック塀の目地にずれやひびが生じ、見た目でも傾いているのがわかります。
100mm以上の傾きの場合
地中に埋まっている水道管や下水管、ガス管、電気線などにも影響が出てきます。
下水の配管の勾配がおかしくなり、水の流れが悪くなることもあります。
道路の地下などにある下水を集めるための排水会所につながる下水管にひびや割れができて汚水が漏れ出す恐れがあったり、水道管が破裂して水漏れを起こす可能性もあります。
建物内部に傾きがある場合
10mm程度の傾きがある場合
生活する上で傾きを感じることはほぼありません。
平衡感覚が敏感な人は「少し傾いているかな?」と感じることがあるかもしれないレベルです。
家を建てた時の許容範囲です。
20mm程度の傾きがある場合
少し傾きを感じる人がでてきますが、生活をする上ではほとんど影響はありません。
そんなに気にしなくても大丈夫です。
ビー玉を置いてもゆっくりと少しずつ転がる程度です。
30mm程度の傾きがある場合
30mm前後の傾きが出てくると、ほとんどの人が傾きを感じることができます。
ビー玉を床に置くと、コロコロと結構な速さで転がります。
ドアやふすまなどの上部と下部ですき間ができるようになり、天井や壁に隙間ができることもあります。
家具を置くと壁と並行になりません。
40mm以上の傾きがある場合
住んでいると気分が悪くなる人がいます。
ドアが床に擦れたり、ふすまがちゃんと閉まらなくなったり、サッシの鍵がかからなくなったりと家に住む上で様々な障害が出てきます。
お家の傾きを直す工事をするか、建て替えを検討する必要があります。
まとめ
家の傾きが気になったらまずはビー玉を使って簡易的にチェックしてみてください。
ビー玉を床に置き、ビー玉の転がる方向や速度をチェックすることで家の傾きを判断できます。
ゆっくり転がる場合は許容範囲ですが、転がるスピードが早かったり、いろんな部屋で一定方向に転がると建物や地盤が傾いているかも知れません。
住宅の傾きを正確に調べてもらうには住宅診断士や建築士などに専用の道具を使って調べてもらう必要があります。
正確に傾きを調べてもらうことによって、建物の安全性や傾きを直す工事をするかしないかの判断ができます。
私の実家では外側の傾きが50mm程、建物内部は30mm程ありました。
住宅診断士にチェックしてもらい「倒壊の心配はない」とのことだったので、リフォーム工事だけで済ませました。
リビングや寝室の居住空間の傾きを直すために床を水平に修繕して、窓やドアなどの建具を調整してもらいました。
工事に全部で数百万円かかったそうですが、家全体の傾きを直す大掛かりな工事は1桁増えるため手が出せなかったそうです。
お家の傾きが気になる場合は、費用はかかりますがプロにチェックしたもらうことも大切です。