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”ジェット燃料に灯油や軽油が使われる”というのは事実ではありません。
ジェット燃料にはケロシンと呼ばれる燃料が使われています。
そこで、今回はジェット燃料と灯油や軽油の違いをまとめてみました。
このページの目次
ジェット燃料のケロシンについて
ジェット燃料に主に使用されているケロシンは、灯油を作る過程で作られる燃料です。
主な成分はガソリンスタンドなどで販売されている灯油と同じです。
環境対策のために添加剤や不純物の量などが細かく設定されています。
一般に販売されているガソリンよりも高価です。
しかし、ジェット燃料には特別な税制が設けられています。
私達がガソリンスタンドで買うガソリンよりも航空会社は安く買うことができます。
なぜジェット機は灯油に近い燃料で飛べるの?
ジェット機がエンジンを動かす時、前方から大量の空気を吸い込みます。
その空気がエンジンに入ってくる時に高温になります。
ものすごい早いスピードで入ってくきて圧縮されるため燃えやすい状態となります。
ガソリンのように燃えやすい燃料でなくても、飛行機のエンジンは燃料を燃やせます。
そのため、灯油に近い成分でも飛行機のエンジンを動かすことができます。
ジェット燃料を買うには?
一般的にジェット燃料は市販されていません。
ガソリンスタンドでも灯油や軽油のようにホースから購入することはできません。
飛行場や航空会社は契約している企業から購入しています。
ラジコンジェット機の場合
小型のジェットエンジンを搭載したラジコンジェット機を飛ばす場合は灯油を使うことが多いです。
灯油にタービンオイルを混ぜたものを燃料として使います。
ジェット機の燃費
ジェット機の機種によって燃費は違います。
一般的に良く乗る飛行機の燃費を各社の公式サイトで調べてみました。
最長飛行距離や搭乗人数で1リットル辺りの燃費は変わってきます。
大型機より小型機の方が搭乗数が少ないため、燃費が良いです。
分かりやすいように1人辺りの燃費も計算しました。
ボーイング社
番号 | 機種名 | 1リットル辺りの燃費 | 搭乗人数 | 1人辺りの燃費 |
---|---|---|---|---|
737 | B737-700 | 約300m/L | 126人 | 3.8km/L |
747 | B747-8 | 約80m/L | 467人 | 3.7km/L |
767 | B767-400ER | 約135m/L | 269人 | 3.6km/L |
777 | B777-300 | 約100m/L | 368人 | 3.7km/L |
787 | B787-9 | 約138m/L | 304人 | 4.2km/L |
エアバス社
番号 | 機種名 | 1リットル辺りの燃費 | 登場人数 | 1人辺りの燃費 |
---|---|---|---|---|
321 | A321-200 | 約145m/L | 192人 | 約2.8km/L |
330 | A330-200 | 約135m/L | 241人 | 約3.3km/L |
340 | A340-300 | 約110m/L | 262人 | 約2.9km/L |
350 | A350-900 | 約135m/L | 315人 | 約4.2km/L |
380 | A380 | 約60m/L | 544人 | 約3.3km/L |
ジェット燃料はリットルなどの容積ではなく、重さで計ります。
気温や気候の関係で燃料の容積が10%以上変動するためです。
正確に1リットル辺りの燃費を出すのは難しかったです。
今回は日本のように温度差や気圧差の少ない場所の標準的な容積から割り出した燃費になります。
ジェット燃料と灯油と軽油の違い
ジェット燃料と灯油と軽油は全て同じ原油が材料になっています。
原油を約350度まで加熱すると原油が気化して蒸留することができます。
蒸留させる温度が燃料によって違います。
- ジェット燃料は約150度~280度
- 灯油は約70度~250度
- 軽油は約240度~350度
ジェット燃料は灯油と軽油の間の温度で蒸留して取り出します。
そのため、灯油や軽油と成分が近い燃料となっています。
厳密にいうと添加物として加えられている成分や、不順物の量が細かく決められています。
ジェット燃料以外で飛ぶ飛行機
飛行機にはガソリンや、軽油で飛ぶ飛行機もあります。
ガソリンで飛ぶ飛行機
プロペラ機は主に航空用ガソリンで飛んでいます。
地方空港へ飛んでいるプロペラ旅客機も航空用ガソリンで飛んでいる機種がほとんどです。
一般のハイオクガソリンよりも高価な燃料で鉛が少し入っています。
軽油で飛ぶ飛行機
軽油で飛ぶ飛行機は一般的ではありませんが、存在します。
過去には戦闘機も軽油で飛んでいた機種もありました。
今でも小型のセスナ機で使用されている例があります。
まとめ
一般的にジェット燃料にはケロシンという燃料が使われています。
ケロシンは灯油や軽油と近い成分で、精製する時の蒸留温度が違います。
ガソリンスタンドなどで手に入れることは難しいです。
旅客機のジェット燃料1リットルで平均1人約3.5km移動することができます。
飛行機の中にはガソリンや軽油で飛ぶ飛行機もあります。
しかし、ジェット燃料に灯油や軽油が使われているというのは事実ではありません。