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プラスドライバーとマイナスドライバーどちらを多く使いますか?
多くの方はプラスドライバーを使うことが多いと思います。
マイナスドライバーを使うよりちゃんと締め付けられ、販売されているネジなども多くがプラス(+)になっています。
なぜ、ドライバーにはプラス(+)とマイナス(-)の2種類があるのでしょうか?
今回はプラスとマイナスドライバーの違いをまとめました。
このページの目次
プラスより先にマイナスドライバーが誕生!
世の中にネジが誕生したとき、マイナス(-)が最初でした。
いろいろな場所でネジが使われるようになり、マイナスドライバーを使っているとネジ頭からドライバーが滑って外れることがよくありました。
とても作業効率が悪く、どうにか改善できないかと考え出されたのがプラス(+)ネジです。
マイナス(-)十字に切ってプラス(+)にすることでドライバーが滑って外れることが少なくなりました。
プラスねじの誕生
1935年にアメリカのフィリップス社がプラスネジを開発し、特許を取得しました。
そこからネジはプラスネジが普及し、プラスドライバーが多くの所で使われるようになります。
今でもホームセンターなどのネジの売り場にはほとんどの物がプラス(+)ネジです。
マイナス(-)ネジは売り場の1割から2割ぐらいしかありません。
また、ドライバーもマイナスドライバーの種類は少ないですが、プラスドライバーは多種多様な物が販売されています。
作業効率はプラスドライバー!
プラスドライバーの軸は十字になっていて、先が尖っています。
中心に合せて押さえれるとネジ穴にピッタリと収まるようになっています。
あとは力を入れて回すだけでネジを締めることができます。
非常に作業効率が良く、多くの製品にプラスネジが利用されています。
ロボットが組み立て作業を行う時も磁石でネジを広い、ドライバーの中心をネジ穴に固定させ、全自動で指定された場所をネジ留めされるようになっています。
なぜまだマイナスドライバーが存在するの?
プラス(+)ネジが主流の世の中でなぜマイナスドライバーがまだ存在しているのでしょうか?
実はプラスネジにはデメリットがあります。
プラス(+)ネジのデメリット
プラス(+)ネジが錆びたり、電動ライバーなどでネジ頭をつぶしてしまうと極端に作業効率が下がります。
つぶれたプラスネジを抜くのに苦労した経験はありませんか?
ゴミが溜まったり、水が溜まって錆びるとプラス(+)ネジは非常にやっかいです。
ネジ頭のプラスの形が少しでも変形するとドライバーを回す力がネジに伝わらなくなるからです。
マイナス(-)ネジのメリット
マイナス(-)ネジはネジ頭に水が溜まって錆びることはありません。
ゴミが溜まってもマイナスドライバーで押し出すこともできます。
そのため、雨や風にさらされる屋外で使われる物や、水回りで使われる物にはマイナス(-)ネジが使われることが多いです。
そのため、マイナスドライバーが無くなることはありません。
プラスやマイナス以外にも特殊なドライバーが!
プラスドライバーやマイナスドライバー以外にも特殊な形をしたドライバーがあります。
六角レンチと呼ばれている六角形の穴の物はヘックスドライバーと呼ばれています。
家具の部品によく使われています。
また、ナンバープレートの盗難防止に使われる特殊な形のドライバーや、三角形、五角形、星型、Y字型など様々なドライバーとネジが存在します。
そういった特殊な形の物はすぐに外されないような場所に使われることが多いです。
iPhoneも分解を防止するために特殊な小さな星型のネジで固定されています。
プラスドライバーとマイナスドライバーの種類
プラスドライバーとマイナスドライバーには種類があります。
電動ドライバーは先のビットと呼ばれる先端部を取り替えることができますが、ドライバーは先端を付け替えることができません。
ドライバーは大きく分けて、
- 普通型
- 貫通型
に分かれます。
普通型のドライバー
普通型のドライバーは「非貫通型」とも呼ばれています。
ドライバーの先端部から軸にかけて、プラスチックや木などの持ち手に途中まで刺さっているタイプを「普通型」と呼びます。
普通型のドライバーは力を入れてネジを締める時に抜けることがあります。
力の伝わり方が貫通型より弱いのが特徴です。
ご家庭で日曜大工や、電化製品の修理などに使う分には普通型で問題ありません。
貫通型より安く販売されていることが多いです。
貫通型のドライバー
貫通型のドライバーは先端部から軸にかけて、持ち手の柄の部分を貫いているドライバーです。
軸の周りに持ち手を巻いた形になります。
貫通型の方がより大きな力を入れてネジを締めることができます。
錆びたネジを外す時はネジにドライバーを挿して、柄の部分をハンマーなどで叩いて使うこともあります。
普通型より少し高くなりますが、購入する場合は様々なケースで使える貫通型をオススメします。
磁気・マグネットドライバー
先端部に磁器加工がされたドライバーも多く見かけます。
「磁器入り」や「マグネット入り」・「MG入り」などと表記があるドライバーです。
磁器を帯びた先端部を使うことによってネジが落ちないようになっています。
プラスドライバーとマイナスドライバーの決まり
プラスドライバーとマイナスドライバーとネジのサイズは規格が決まっています。
JIS規格によって、工業標準化法により定められています。
そのため、多くの日本製の製品には規格が決まったネジが利用されています。
プラスドライバーは適合ネジの径が小さい順に0番(No.0)から4番(No.4)まで5種類に分類されています。
マイナスドライバーはマイナス(一)厚みと幅と軸の長さで分類されます。
その他にもJIS規格には合っていない海外製のドライバーやネジもたくさんあります。
プラスドライバーのJIS規格表
プラスドライバー
番号 | ネジの溝の直径 | ドライバーの軸の長さ |
---|---|---|
No.0 | 1.0~2.0mm | – |
No.1 | 2.0~2.9mm | 75mm |
No.2 | 3.0~5.0mm | 100mm |
No.3 | 5.5~7.0mm | 150mm |
No.4 | 7.5mm以上 | 200mm |
マイナスドライバーのJIS規格表
先端部の横幅 | 先端部の厚み | ドライバーの軸の長さ |
---|---|---|
4.5mm | 0.6mm | 50mm |
5.5mm | 0.7mm | 75mm |
6.0mm | 0.8mm | 75mm |
7.0mm | 0.9mm | 125mm |
8.0mm | 1.0mm | 150mm |
9.0mm | 1.1mm | 200mm |
10.0mm | 1.2mm | 250mm |
10.00mm | 1.2mm | 300mm |
JIS規格とは?
JIS規格は日本工業規格のことで、Japanese Industrial Standardsの略です。
日本国内向けの工業規格を表していて、工業標準化法によって定められている規格です。
ドライバー以外にも、自動車や電化製品、トイレットペーパーの幅などもJIS規格で決められています。
プラスドライバーやマイナスドライバーの使い方
ドライバーを使う時は、ネジの頭に対して垂直に押し込んでください。
締める時は回すだけではなく、なるべく下方向に力を入れながら回すようにするとスムーズに締まります。
回す力は3~4割・下方向へ6~7割ので締め付けるのがポイントです。
また、ネジとドライバーの規格がきちんと合う物を使ってください。
ネジと合わないサイズのドライバーを使うとネジ頭が削れて外す時に大変です。
また、ドライバーがずれて怪我をすることもあります。
まとめ
プラスドライバーとマイナスドライバーはマイナスドライバーの方が先に誕生しました。
マイナスドライバーで不便だった点を改善してプラスドライバーが生まれました。
しかし、プラスドライバーにもデメリットがあり、そのデメリットを補うためにマイナスドライバーが今でも必要になっています。
プラスネジは錆びや水に弱く、マイナスドライバーは作業効率が落ちます。
今後、両方の長所を兼ね備えたネジが登場するとどちらのドライバーも姿を消すかも知れません。
また、ドライバーには普通型と貫通型の2種類があります。
普通型より貫通型の方が力を入れて回せるのでドライバーを購入する時は少し高いですが、貫通型をオススメします。
ドライバーはJIS規格で決められたサイズの日本製の物を購入してくださいね!
くれぐれも怪我の無いようにドライバーを使ってください。