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2007年からスタートしてすっかり日本のプロ野球に定着したクライマックスシリーズ。
毎シーズン盛り上がっていますよね。
しかし、いまだに反対意見も多く聞かれます。
そこで今回は、クライマックスシリーズに対する反対意見をまとめました。
クライマックスシリーズを開催するメリットやデメリットについてもご紹介します。
このページの目次
プロ野球のクライマックスシリーズへの反対意見
プロ野球のクライマックスシリーズはスタート当初からの反対意見が根強くあります。
ポイントをまとめると、
- プレーオフに進出できるチームが半分
- 勝率5割以下でも日本一になれる可能性がある
- メジャーリーグのポストシーズンとの違い
の3つです。
プレーオフに進出できるチームが半分
日本のプロ野球の球団数はセントラル・リーグ(セ・リーグ)とパシフィック・リーグ(パ・リーグ)に6球団の合計計12球団です。
セ・リーグには、読売ジャイアンツ、東京ヤクルトスワローズ、横浜DeNAベイスターズ、中日ドラゴンズ、阪神タイガース、広島東洋カープが所属しています。
パ・リーグは、北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、埼玉西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズ、オリックス・バファローズ、福岡ソフトバンクホークスの6チームです。
3月下旬頃にペナントレースの開幕戦が行われ、約半年間かけて140試合前後をレギュラーシーズンとして試合が開催されています。
レギュラーシーズンを経て、クライマックスシリーズが10月頃に開催されますが、クライマックスシリーズに進出できるのは各リーグの上位3チームです。
12球団のうち、半数の6チームがプレーオフに進出できる仕組みになっています。
1位から3位のチームの差が大きく開いていても、クライマックスシリーズの結果次第では3位のチームが日本シリーズへ進出して日本一になる可能性があります。
プレーオフに進出できるチーム数が全体の球団数に比べて多すぎるため「ペナントレースの価値が下がる」という反対意見は、クライマックスシリーズが始まった当初から根強くあります。
インターネットで見かけた具体的な反対意見
- たった12球団しかないのに半分の6チームもプレーオフに進出できるのはおかしい!
- クライマックスシリーズのモデルになったメジャーリーグのポストシーズンは30球団というリーグ全体の厚みがあってこそ成立するもの。日本のプロ野球では比較にならない。
- 140試合のペナントの価値が薄れる。リーグ優勝じゃなくて1位通過って感じ。
- クライマックスシリーズがある限りペナントレースの優勝は予選突破くらいの感じしかしない。昔に比べて価値が軽くなった。
- 2位チームの選手もファンも、1位を取れなさそうな場面で全然必死感が無くなった。
- ペナント頑張らなくてもとりあえずクライマックスシリーズへ行ければ優勝逃げできる感じが本当に嫌だ。
勝率5割以下でも日本一になれる可能性がある
勝率とは、全体の試合のうち勝った試合数の割合を表す数字のことです。
勝利した試合数を全体の試合数で割って計算します。
引き分けの試合は除いて計算するのが一般的です。
計算式にすると「勝率=勝数÷(勝ち数+負け数)」となります。
プロ野球の解説などでよく「貯金」や「借金」という言葉が聞かれます。
貯金は勝ち越している試合の数、借金は負け越している試合の数を指しています。
「貯金がある」状態は勝った試合が負けた試合よりも多いということです。
引き分けは計算に入れないため、45勝26敗3分の場合は貯金19ということになります。
33勝42敗1分だと借金9と表します。
貯金0借金0が勝率5割の状態です。
ニュースなどで「借金を返し終えて、勝率5割復帰」などという表現がよく使われます。
セリーグとパリーグのリーグ優勝は勝率1位のチームが優勝チームになります。
日本のクライマックスシリーズのルールでは勝率に関わらず、リーグ上位3位以内に入るとクライマックスシリーズに出場することが出来ます。
”勝率”も”貯金”も”借金”も”ゲーム差”も関係ありません。
勝率5割以下の借金がある状態のチーム、つまりは勝った試合よりも負けた試合が多いチームでも日本一になる可能性があるおかしなシステムになっています。
インターネットで見かけた具体的な反対意見
- 勝率5割以下のチームでも日本一になれる。日本一の安売り。
- リーグ覇者と日本シリーズ進出チームが異なればリーグ優勝の重みが薄れる。
- ペナントレースで3位だったチームが勝ち上がり、日本シリーズを戦っているのは嘘くさい。
- 借金11でクライマックスシリーズを語るな。借金11なのに優勝や日本シリーズの可能性が残るとか異常。
- 2位と14.5ゲーム差の1位ならクライマックスシリーズなんてしないで、そのまんま日本シリーズ出場権をあげてもいいんじゃないか?万が一、1位以外のチームが日本シリーズの出場権を得ても後味悪い。
- クライマックスシリーズが盛り上がるのは予想外なこと、意外な結果が起こるからだよね。ペナントできちんと結果が出てるんだから予想外なんて不要。盛り上がるからクライマックスシリーズは必要っていう意見自体が不要。
- 勝率5割以下のチームはクライマックスシリーズに進出できないことにすればいいのに。
メジャーリーグのポストシーズンとの違い
メジャーリーグにも日本のクライマックスシリーズと同じような制度があります。
ポストシーズンと呼ばれます。
日本のクライマックスシリーズはもともとアメリカのメジャーリーグのポストシーズンを参考に作られました。
クライマックスシリーズには反対意見が多いですが、ポストシーズンへの不満はほとんど聞かれません。
日本のプロ野球とメジャーリーグでは、球団数が大きく違います。
日本のプロ野球は12球団ですが、メジャーリーグは30球団もあります。
この30球団もアメリカンリーグとナショナルリーグの2つのリーグに分かれています。
各リーグは15チームを、5チームずつ西地区、中地区、東地区の3つのグループに分けてリーグ戦を戦っています。
レギュラーシーズンは、グループ内の5チームで地区優勝を争います。
両リーグで地区優勝チームの6チームはポストシーズンに進出することができます。
両リーグ15チーム中、地区優勝チームを除いた12チームの勝率1位と2位のチームが、ワイルドカードゲームに進出します。
ワイルドカードゲームは1試合を行い、勝ったチームが地区優勝3チームを合わせた4チームで、リーグの代表を決める仕組みになっています。
リーグの代表を決める試合はトーナメントで行われ、5戦3勝制のディビジョンシリーズと呼ばれています。
ディビジョンシリーズの勝者同士が7戦4勝制のリーグチャンピオンシップを戦います。
リーグチャンピオンシップを制して、はじめてリーグの優勝チームになれるのです。
最後は、両リーグの代表同士がワールドシリーズで戦います。
メジャーリーグの球団数と複雑なルールを課して行われるポストシーズンだからこそ不満が少ないシステムになっています。
日本のプロ野球とメジャーリーグでは規模が違います。
地区優勝チームと12チームの1位2位が戦う重みと、6チーム中の1位~3位が試合をする重みは全く意味が違ってきます。
インターネットで見かけた具体的な反対意見
- クライマックスシリーズのモデルになったメジャーのポストシーズンは30球団というリーグ全体の厚みがあってこそ成立するもの。日本のプロ野球では比較にならない。
- メジャーのポストシーズンは各地区の優勝チームが主体になった争い。
- クライマックスシリーズは必要だと思うがメジャーリーグのようにもっとシステムを考えてほしい。
クライマックスシリーズを開催するデメリット
反対意見を参考にクライマックスシリーズを開催するデメリットをまとめました。
レギュラーシーズンの価値が下がる
これが一番のデメリットです。
リーグで2位以下のチームを大きく引き離して優勝したチームがあっても日本シリーズに進出できるわけではありません。
あくまでリーグを1位で通過した状態です。
クライマックスシリーズの結果によっては、大きくゲーム差をつけて引き離されていた勝率5割以下のチームが日本シリーズに進出することもあります。
これではなんのために長い時間をかけてたくさんの試合を行ってきたのか、ペナントレースの意味合いが薄れてしまいます。
リーグ優勝できなくても、3位以内に入ればいいという気持ちでペナントレースを一生懸命頑張らない選手も出てくるかもしれません。
ファンもペナントレースを毎試合応援しなくなるかもしれません。
全体的にプロ野球としてのレベルの低下に繋がりかねません。
プロ野球開催期間が長くなる
クライマックスシリーズが導入されたことで上位チームは試合数が多くなり、開催期間も長くなりました。
選手にとっては怪我や故障のリスクが高まります。
ファンの方が球場へ観戦に行くときも日本シリーズになると11月の初旬から中旬になります。
肌寒い日も増え、体調を崩す可能性もあります。
不満感が募る
反対意見の多い現状のままクライマックスシリーズを続けていくと、ファンの不満感が募っていきます。
クライマックスシリーズが盛り上がっている時は良いですが、不満感の募ったファンがプロ野球から離れていく可能性もあります。
クライマックスシリーズを開催するメリット
反対意見やデメリットの多いクライマックスシリーズですが、毎年盛り上がっているのも事実です。
クライマックスシリーズを開催するメリットについてもまとめました。
消化試合が減る
消化試合はシーズン終盤に出てくる勝っても負けても意味を持たない試合のことです。
クライマックスシリーズが無かった頃はリーグ優勝チームが決まると、その後の試合は消化するだけの試合になっていました。
選手は自分の成績を上げるために頑張りますが、チーム全体の士気が下がってしまいます。
クライマックスシリーズの導入は消化試合をなくすことを目的に検討され、導入が決定しました。
クライマックスシリーズがあることで、優勝チームが決まっても2位3位のチームに注目が集まります。
そのため、選手もファンも盛り上がることにつながっています。
経済効果が大きい
優勝チームだけでなく、2位3位のチームにも注目が集まることでファンの応援にも熱が入ります。
試合観戦に球場へ足を運ぶ人も増えたり、グッズなど関連商品の売り上げも伸びています。
経済効果としては消化試合を行うより大きな影響をもたらしています。
クライマックスシリーズとは
クライマックスシリーズは2007年から日本のプロ野球で行われている制度です。
Climax Seriasを略した「CS」という表記も使われます。
セ・リーグ(セントラルリーグ)とパ・リーグ(パシフィックリーグ)の上位3チームが日本シリーズ出場権をかけて争う短期決戦です。
これに勝利したチーム同士が日本シリーズで対戦します。
リーグ優勝できなくても3位以内に入ると日本一になるチャンスが与えられる制度です。
クライマックスシリーズの仕組み
クライマックスシリーズはファーストステージとファイナルステージに分かれています。
ファーストステージは2位チームと3位チームが3試合2勝先取制で2位のチームの本拠地球場で試合を行います。
引き分けもあり、1勝1敗1分になった場合は、2位のチームがファイナルステージへと進出します。
ファイナルステージはファーストステージ勝利チームとリーグの優勝チームが対戦します。
6戦4勝先取制で、リーグ優勝チームはアドバンテージとして1勝が与えられます。
試合会場は優勝チームの本拠地球場で行われます。
ファイナルステージの勝者が各リーグで決まり、その2チームで日本シリーズが開催されます。
クライマックスシリーズの歴史
クライマックスシリーズは2004年から2006年の間プレーオフという名称でパ・リーグだけでテスト開催されていました。
ファンや選手も盛り上がり、興行的にも大きな成果があったため2007年からセ・リーグにも同様の制度の導入が決定されました。
最初はポストシーズンという名称でしたが、一般公募でクライマックスシリーズという名称に変更されました。
まとめ
日本のプロ野球のクライマックスシリーズには多くの反対意見があります。
反対意見は、
- プレーオフに進出できるチームが半分
- 勝率5割以下でも日本一になれる可能性がある
- メジャーリーグのポストシーズンとの違い
の3つに分けることができます。
半年以上の長い期間をかけて、たくさんの試合を行ってきたレギュラーシーズンを重んじてほしいという意見が多いです。
デメリットをまとめても、レギュラーシーズンの意味が薄れ、リーグ優勝の価値が下がることが挙げられます。
一方のメリットは、消化試合が減り、レギュラーシーズンの最後までプロ野球が盛り上がる点です。
興行収入も増え、球団を運営する側としては金銭面のメリットの方が大きく、開催したいのが本音です。
しかし、ファンの心理からすると納得できる形で改善してもらいたいのが実情です。